農業

農業経営基盤強化準備金について(1)

 

 

農業経営基盤強化準備金とは

農業経営(というか税法?)を学と必ずこの農業経営基盤強化準備金が出てきます。農業簿記の3級でも名前がでますがどのような制度かをご説明します。
経営所得安定対策等の交付金をはじめ、農業では補助金の交付を受ける機会が沢山あります。また、補助金交付を受けた後はハウスを建てるなど固定資産の取得に充てられる方が多いのではないでしょうか。
そこで、予め特定の計画を提出・承認後、その計画に従って準備金を積み立てた場合、個人は必要経費に法人は損金算入が認められます。ただし、この制度は準備金を積み立てて固定資産を取得することで経営を強化することが趣旨ですので、計画の段階でどの固定資産を取得するかを明記する必要があります。
また、準備金の取り崩しや固定資産の取得の際には圧縮記帳が認められます(青色申告による確定申告が必要)

こちらの農水省のパンフレットが役に立つかと思います。
圧縮記帳についてはこちらにまとめてあります。課税の繰り延べを行うのでトータルの課税額は変わりませんが現金支出が減るのでキャッシュフローで考えて使う必要があります。

要件・対象

どんな人が対象になるか

制度のは大きく分けると
(1)認定農業者(個人及び農地所有適格法人)が農業経営改善計画を提出。個人は青色申告による確定申告
(2)認定新規就農者(個人)が青年等就農計画を提出かつ青色申告による確定申告
の2パターンあります。※農地所有適格法人とはざっくり言うと農地法に基づいて農地を取得し農業を営む法人で殆どの法人がこれにあたります。

対象となる交付金・資産

平成30年度予算では
(1)経営所得安定対策の交付金(直接支払交付金、収入減少影響緩和対策交付金)
(2)水田活用直接支払交付金
の2パターンです。

また、計画の対象となる固定資産は
(1)農用地(農地、採草放牧地 農業経営基盤強化促進法 第4条第1項第1号)
(2)農業系の建物・機械など
・農業用の建物(建物付属設備)
・農業用の構築物
・農業用設備(器具備品、機械装置、ソフトウェア)
注意:中古の固定資産、トラック・フォークリフトは含まれない

書類的手続き

上記要件を満たした場合に実際書類の手続きが必要になります。
大まかには①農政局への申請 ②認可後、証明書の交付 ③申告(確定申告)時に証明書の添付
と言う流れになります。

①農政局への申請の際の必要書類については積立時と取崩時で若干異なります。必要書類のダウンロードはこちらから
積立時
①証明申請書
②準備金に関する計画書兼実績報告書
③交付金の交付決定通知書等の写(対象となる交付金に関する積立年※事業年度のもの)
④農業経営改善計画等の写
⑤貸借対照表等の財務諸表 (前年の確定申告時の控用の写※2年目以降の申請の際に必要)

取崩時
①証明申請書
②準備金に関する計画書兼実績報告書
③交付金の交付決定通知書等の写(対象となる交付金に関する積立年※事業年度のもの)
④農業経営改善計画等の写
⑤貸借対照表等の財務諸表(固定資産の取得などに準備金を充てる場合)
⑥取得した固定資産の領収書等

損金・必要経費算入限度額

(1)農業経営基盤強化準備金の積立時
①準備金として積み立てする金額(証明書記載の金額)
②その事業年度の所得の金額
のうちどちらか低い方が損金・経費への算入が認められます。

例えば、交付金で300万円、売上で700万円の収入があり農業経営の必要経費として600万円が計上されている場合に準備金300万円を積み立てるとすると
①300万円
②300万円+700万円-600万円=400万円
となりますので2つを比較して積立額の①が算入の限度額となります。

(2)農地等の取得時(圧縮時)
①準備金の取崩額とその事業年度の交付金額(受領)のうち、固定資産の取得に充てた金額(証明書記載金額)の合計額
②その事業年度の所得金額
のうちどちらか低い方が同じく算入が認められます。

例えば、準備金の取崩額が500万円、交付金収入が300万円、売上が400万円、経費が200万円の場合に800万円の固定資産の取得を行う(取崩+当期交付金は取得に充てる)と
①500万円+300万円=800万円
②500万円+300万円+400万円-200万円=1,000万円
となり800万円が限度額になります。もし取得固定資産が600万円であればその取得価格が限度額となります。

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